ぶたいきこう

舞台機構

歌舞伎の舞台機構として代表的なものに「花道」「廻り舞台」「セリ」がありますが、いずれも歌舞伎が考案したということに加え、それをどのように使いどのような効果を上げるかという点にも歌舞伎の奥深さがあります。これらはまさしくリアルと虚構の狭間にあり、花道での演技はあるときには隣室にも廊下にも道路にもなるというように、自在に変幻しますし、廻り舞台も単に舞台転換がスムーズに行くという利便性だけでなく、観客の目の前で回すことにより時空の変化や観客の気分転換など様々な効果を生みます。セリは現実にはありえないものですが、人や物を自然にまた見事にクローズアップします。そのほか、現代の劇場では照明と音響が重要になっています。また、いくつもあるセリやすっぽんを電動で上げ下げしたり、舞台を廻したりするための操作盤があって、専門スタッフが常駐しています。(金田栄一)