だいもんとすおう 大紋と素襖

武家の格式高い衣裳。大きな袖や長い裾の袴が特徴。「大紋」と「素襖」は、形がよく似ているのですが細かな所に違いがあり、格式が高いのは大紋で、素襖はその略式とされています。いずれも、実際の服飾史のものよりも、袖幅を大きくするなど舞台用に派手に仕立ててあります。
大紋は、その名の通り大きな家紋が袖や胸、背中などに柄として付いているのが特徴で『仮名手本忠臣蔵』「大序」などで見られます。素襖は『身替座禅』の山蔭右京などが着ています。また『素襖落(すおうおとし)』という演目では、素襖が小道具のような形で登場します。(田村民子)

【写真】
『仮名手本忠臣蔵』桃井若狭之助安近(中村梅玉) 平成21年11月歌舞伎座