きょうげんぶよう 狂言舞踊

能狂言から題材を取りあるいはその手法を用いて近代以降に創られ、松羽目の舞台を使って演じられる舞踊劇のこと。登場人物は概ね大名某、太郎冠者、次郎冠者などで、いろいろと滑稽なアイディアを凝らして観客を和ませます。特に六代目尾上菊五郎、七代目坂東三津五郎という「芝居の神様」「踊りの神様」と称される名人によって初演された『棒しばり』は名人二人の手を縛って踊ってみせるという手法が見事で、『高杯(たかつき)』は下駄を使った歌舞伎版タップダンス、また『身替座禅』は恐妻家という洋の東西を問わぬ題材で海外公演の定番となっています。他に『素襖落(すおうおとし)』『釣女』『太刀盗人(たちぬすびと)』といった演目があります。(金田栄一)

【写真】
『釣女』醜女(坂東三津五郎)、太郎冠者(中村又五郎) 平成25年1月新橋演舞場