登場人物を類型的に分類してご紹介します。芝居の上ばかりでなく江戸時代は役者個々に単一の役柄が割り当てられて分業化し、一般社会の身分制度と同様厳格に守られていました。大きく分ければ「立役(古くは男方)」と「女方」ですがが、やがて立役の中から「敵(かたき)役」が専門化し、さらに「若衆方」「親仁(おやじ)方」「道化方」、女方は「若女方」と年増・老女の「花車(かしゃ)方」が生まれました。それに「子役」も歌舞伎の特徴のひとつです。数限りない役がわずかなこの役柄に分類されるのですが、むしろ役柄という定型の上に成り立っているという点にこそ歌舞伎の本質があります。(金田栄一)
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『寿曽我対面』[左から]喜瀬川亀鶴(中村梅丸)、曽我五郎時致(中村橋之助)、曽我十郎祐成(片岡孝太郎)、化粧坂少将(中村児太郎)、大磯の虎(中村芝雀) 平成26年3月歌舞伎座