ぶよう

舞踊

歌舞伎はそもそも出雲阿国(いずものおくに)の「かぶきおどり」から始まっていて、現在でも舞踊は歌舞伎の中で大きな部分を担っています。舞踊のことを歌舞伎では所作事(しょさごと)とも呼んでいます。所作事を演目として確立させた役者には初代瀬川菊之丞と初代中村富十郎が挙げられますが、特に富十郎は今日でも舞踊の大曲として人気を誇る『京鹿子娘道成寺』を初演して後世に伝えています。所作事は元々女方芸として位置付けられていましたが、それを立役として大成させたひとりに天明期の初代中村仲蔵がおり、さらに文化文政期には三代目坂東三津五郎、三代目中村歌右衛門などにより、いくつもの役柄を踊り分ける「変化舞踊(へんげぶよう)」が流行、今日でもおなじみの『浮かれ坊主』『越後獅子』などがここから生まれています。(金田栄一) 【写真】 『京鹿子娘道成寺』白拍子花子(坂東玉三郎) 平成22年4月歌舞伎座