はつねのつづみ 初音の鼓

『義経千本桜』に登場する、千年長生きした雄雌の狐の皮で出来た鼓。宮中の宝物だったが、後白河法皇から義経に下賜される。鼓を打て、には「頼朝を討て」との内意が隠されていた。義経は鼓を持っても打たねばよい、と考え拝受したが、それも一因となって都落ちすることになり、鼓は愛妾静御前に預けられる。ところが鼓にされた狐には子がいて、その子狐が鼓を慕って追いかけてくる。子狐が佐藤忠信に化けて静の危機を救ったとわかると、義経は鼓を子狐に与える。(前川文子)

【写真】
『義経千本桜』川連法眼館 静御前(中村時蔵) 平成25年10月歌舞伎座