鞍馬山で修行を積んだ牛若丸は、都の五条橋の上で、武蔵坊弁慶(むさしぼうべんけい)と出会います。弁慶は書写山(しょしゃざん)や比叡山で修行した僧でしたが、千人斬りの願掛けをして、五条橋の上で行き交う人に戦いを挑むという恐ろしい男です。いよいよ千人目という時、笛を吹きながら五条橋にやってきた牛若丸に挑みますが、牛若丸は橋の欄干をひらりひらりと飛び移りながら弁慶の刃をかわし、ついには弁慶を降伏させてしまいます。それから弁慶は生涯牛若丸の家来となることを誓います。『鬼一法眼三略巻』にも「五条橋」の場面があります。ちなみに四段目に登場する鬼次郎の妻お京は、弁慶の姉です。(日置貴之)
【写真】
『橋弁慶』[左から]武蔵坊弁慶(中村獅童)、牛若丸(中村七之助) 平成17年8月歌舞伎座
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『橋弁慶』[左から]武蔵坊弁慶(中村獅童)、牛若丸(中村七之助) 平成17年8月歌舞伎座