めいぎょく 名玉

『苅萱桑門筑紫いえづと(かるかやどうしんつくしのいえづと)※~いもり酒』に出るのが加藤家の重宝「夜明珠(やめいじゅ)の名玉」。二十歳をすぎた処女でなければ手にした瞬間に黒く濁るという玉だという触れ込みで、夕しで(ゆうしで)という娘が使者に立つ。しかし加藤家の家老監物太郎(けんもつたろう)らの計略で媚薬のいもり酒を呑まされ、美男桑原女之助(くわばらおんなのすけ)と恋に落ち、手にした名玉を濁らせてしまう。実は偽物だったのだが、夕しでは矢を胸に突き立てて自害する。(前川文子)

※いえづと は、車へんに榮

【写真】
『苅萱桑門筑紫いえづと』新洞娘夕しで(中村芝翫) 昭和49年10月歌舞伎座