でどうぐ 出道具

舞台装置の一部として、あらかじめ舞台上に置かれているものを「出道具」または「置道具(おきどうぐ)」という。時代物なら几帳や脇息、衝立の類。世話物なら行灯、屏風、火鉢といった家具類。また、掛け軸や花生けのような室内装飾品などで、場面の情景や雰囲気を表出するために使われる。御殿、大名屋敷、町家、商家、廓など、場面によって出ている小道具の定式(じょうしき)がほぼ決まっている。(橋本弘毅)

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煙草盆・屏風・行灯・長火鉢・鏡台などさまざまな道具が置かれているお富の家
『与話情浮名横櫛』[左から]切られ与三郎(市川海老蔵)、蝙蝠安(中村獅童)、番頭藤八(市川猿弥)、お富(坂東玉三郎) 平成27年7月歌舞伎座