かぶきじゅうはちばん 歌舞伎十八番[様式]

「歌舞伎十八番」というのは七代目市川團十郎が制定した團十郎家の「家の芸」十八演目ですが、そういった家の芸としてのくくりと同時に、上演形態に大きな特色を持ったひとつの演目群としての見方が出来ます。この十八演目は初代、二代目、四代目の團十郎(三代目は早逝)が初演した演目から成り、『暫』『矢の根』をはじめ團十郎家ゆかりの荒事がその根本となっています。つまり超人的、神がかり的な強さや神秘性を持った主人公が登場し、総じて演目全体は明るく大らかで荒唐無稽、さらに極めて様式性が高く舞踊の要素に溢れ、今日上演される演目を見ても所作舞台(舞踊に使われる置き舞台)の使用がほぼ決まりです。この「十八番」が制定されるきっかけは七代目による『勧進帳』の初演ですが、これは初代が演じた『星合十二段』を大幅に改定し、七代目がそれまでの固い禁を破って能の様式や手法を取り入れて創演、それを「歌舞伎十八番の内」と権威付けて成功に導くと共に、團十郎家の地位をさらに確立させる大きな契機ともなりました。これが先駆けとなり「歌舞伎十八番」以降、明治から昭和にかけて数々の家の芸が制定されることになります。(金田栄一)

家の芸>歌舞伎十八番[家の芸] もご参照ください。

【写真】
『勧進帳』武蔵坊弁慶(市川團十郎) 平成24年10月新橋演舞場