かおみせ 顔見世

江戸時代の芝居小屋は役者と一年ごとの専属契約をし、毎年11月の興行をそのお披露目の「顔見世」としました。新たな一年がここから始まるため芝居の世界では11月を「芝居国の正月」と呼び、『暫』や『だんまり』といった演目が新しい一座の顔ぶれ紹介のための「顔見世狂言」に選ばれています。近代以降は一年契約のシステムがなくなりましたが、現在も顔見世は豪華顔合わせ興行として親しまれ、京都南座12月の「吉例顔見世興行」が京の町の年中行事としておなじみ、歌舞伎座も毎年11月を「吉例顔見世大歌舞伎」としています。名古屋では、御園座で昭和40年から10月に顔見世興行が行われています。(金田栄一)

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『暫』 平成22年7月新橋演舞場