たておやま 立女形

一座の中で最高位の女方のこと。演技力ばかりでなく、格、華など、あらゆる資質が要求される重要なポジションで、江戸時代の芝居小屋では座頭(ざがしら)に次ぐ位置に居ました。現在でも『助六由縁江戸桜』の三浦屋揚巻、『本朝廿四孝』の八重垣姫、『京鹿子娘道成寺』の白拍子花子など、立女形が勤めるべき役は数々あります。歌舞伎で女性役を演じる俳優は通常「女方」と表記され、読みも「おんながた」ですが、この立女形の場合は「たておやま」と読みます。(金田栄一)

【写真】
『仮名手本忠臣蔵』本蔵妻戸無瀬(坂田藤十郎) 平成24年3月新橋演舞場