おとこだて 男伊達

江戸の町で無頼横暴をくり返す「旗本奴」に対抗して、町奴と呼ばれた侠客たちが「男を立てる」ことを競い、男伊達と通称しました。そういった人物が登場する芝居はいろいろありますが、『御所五郎蔵』はまさしくその町奴と旗本奴の対決、『極付幡随長兵衛』の幡随院長兵衛も旗本奴との争いで命を落とします。また『助六由縁江戸桜』の花川戸助六も男伊達を象徴的に描いた格別のヒーローといえるでしょう。「伊達」の表記については、華やかな格好で人目を惹き評判の高い仙台伊達藩の行列姿から転じた、という説がよく知られています。(金田栄一)

【写真】
『曽我綉侠御所染』御所五郎蔵(尾上菊五郎) 平成27年11月歌舞伎座