つらあかり(さしだし) 面明かり(差し出し)

俳優の花道の出の際に、前後から黒衣が長い柄の先に立てたロウソク(差し出しという)で照らし、スポットライトのようにその人物を浮かび上がらせ、ひときわ際立たせる演出法です。非常に古風な味わいがあり、『廓文章』の伊左衛門の出、また『伽羅先代萩』の「床下」の場面での仁木弾正(にっきだんじょう)の花道すっぽんからの出が特に有名で、親しまれています。(金田栄一)

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『忍夜恋曲者』傾城如月実は将門娘滝夜叉姫(坂東玉三郎) 平成25年4月歌舞伎座