たちやくのかつら

立役のかつら

歌舞伎が生まれた江戸時代は男性中心の世の中でしたので、歌舞伎でも男性が社会(制度)と葛藤しながら生きていくドラマが多く描かれました。立役の髪型は驚くほど種類が多いのですが、それは芝居に登場する沢山の男性たちの境遇や性根(しょうね)をきめ細かく表すために、多様化していったものと思われます。 一見すると似たような髪に見えても、髷(まげ)の太さや形に微妙なバリエーションがあり、役柄に応じてきめ細かく作り分けています。さらに髪につける油を調整してツヤや風合い、髪の微妙な色味にまで神経をくばり、「役柄の数だけ髪の形がある」とも言われます。(田村民子) 【イラスト】 立役:武士 中川未子 画

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