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あおえしもさか 青江下坂

『伊勢音頭恋寝刃』で、メンツをつぶされたうえに名刀をすり替えられたと思い込んだ主人公福岡貢が大勢の人を斬りつける妖刀が「青江下坂」。伊勢音頭を踊る人の群れをおびやかし、自分をだました人々だけでなく、居合わせた人々を衝動的に斬りつけていくのだが、まるで「青江下坂」が勝手に動くようなのである。これは実は越前の刀工が作る葵下坂(あおいしもさか)のことらしい。徳川の紋である葵の名が許された名工に対する遠慮から、芝居ではわざと文字を青江下坂としているとの説もある。青江物と呼ばれる備中の刀も実際にあるが、下坂と続くことはない。『敵討襤褸錦(かたきうちつづれのにしき)』の春藤次郎右衛門(しゅんどうじろうえもん)が大切にする刀も「青江下坂」だが、こちらは妖刀ではない。(前川文子)

【写真】
『伊勢音頭恋寝刃』福岡貢(片岡仁左衛門) 平成23年7月大阪松竹座
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