ときわづぶし 常磐津節

豊後節の祖・宮古路豊後掾の門人である宮古路文字太夫が常磐津文字太夫と改め、江戸中期の延享年間に創始した豊後節系江戸浄瑠璃。主に歌舞伎音楽として発展し舞踊曲として数々の名曲が作られました。代表曲には『関の扉』『将門』『乗合船』などがあり、語り口は明るく洒脱な味を持っています。出語りの際の肩衣(かたぎぬ)は柿色、これは初代市川男女蔵の倅・男熊(おくま)が家元として四代目文字太夫になったのを機に市川團十郎家と同じ柿色を用いることになったと伝えられます。使用する見台は黒色もありますが、主に「蛸足」と呼ばれる朱塗りの物を用いるのが大きな特徴、三味線は太棹(義太夫)細棹(長唄)の中間に位置する中棹です。(金田栄一)

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『積恋雪関扉』の舞台下手の山台で演奏する常磐津連中