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  4. 小鼓、大鼓、締太鼓

こつづみ・おおかわ・しめだいこ 小鼓、大鼓、締太鼓

小鼓と大鼓と締太鼓は、木の胴を丸い平らな皮で両側からはさんで紐で締め上げる基本構造は同じです。小鼓と大鼓の胴は細い筒の両端がお椀を伏せたような形をしています。中はくりぬかれ、鉋で削られ、外は漆が塗られ、美しく蒔絵が施されています。皮は鉄の輪に張られ、胴の前後にあてて「調べ(調べ緒)」で締め上げます。胴は桜材、皮は馬の皮、「調べ」は麻の紐を撚り合わせたものです。
小鼓は非常に寿命の長い楽器で、明治以前に作られたものの方が音色がよく、300~500年くらい前のものが今も使われています。「調べ」だけは年に2~3回は取り変えなければならない消耗品です。大鼓も基本的な構造と材料は小鼓と同じですが、小鼓の半永久的ともいえる寿命に対して、大鼓の皮は使い捨てです。小鼓の皮は湿気をおびている方がいい音が出るのに対し、大鼓の皮は炭火で焙じてカンカンに乾かし、強く打って「カーン」という高い音を出すからです。締太鼓も構造は同じですが、胴はケヤキで皮は牛の皮です。2本の太撥で打ちます。小鼓と大鼓、太鼓は、その音色と共に、奏者のかけ声も重要な音楽的要素となっています。(浅原恒男)

【写真】
(右から時計回りに)締太鼓、大鼓、小鼓(提供:©宮本卯之助商店)
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