黒御簾の楽器

黒御簾で使われる鳴物楽器は種類が非常に多く、八十種ほどあるといわれます。主要楽器として能の四拍子(小鼓・大鼓・太鼓・能管)と大太鼓。大太鼓は出囃子には用いませんが、黒御簾では中心的役割を果たします。補助楽器として、大拍子、土拍子(銅鈸子)、桶胴、楽太鼓、当り鉦、本釣鐘、ゴン(銅鑼)、双盤、振鈴、チャッパ、松虫、オルゴールなどがあります。そのほか木魚、木鉦、妙鉢、生リンなどの寺院楽器や、柄太鼓、団扇太鼓、板木、びんざさら、四つ竹、カンカラ太鼓など、江戸時代に巷間で用いられていた羯鼓、笏拍子、チャルメラ、ハーモニカ、木琴、駅路(街道の馬につける鈴)、砧なども使われます。そのほか、竹籠に油紙を張って大豆や小豆を入れた浪籠、団扇に細い紐でビーズを結わえ付けた雨団扇などの効果音を出す道具もあります。(浅原恒男)

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黒御簾の楽器の一例。左上から時計回りに大太鼓、銅鑼、双盤、駅路、当り鉦、締太鼓。