舞台技術とは、歌舞伎の舞台を作り上げてゆくための様々な技術(ノウハウ)のことで、そのために劇場に備わっている設備が舞台機構です。俳優が変身するための衣裳や鬘、そして小道具なども広義の舞台技術に含めることができますが、ここでは歌舞伎ならではの舞台効果を実現するために舞台のかげで人の手によって舞台機構を操作する技術を、舞台技術と呼んでいます。現代の歌舞伎の劇場は、江戸時代に創案された廻り舞台やセリ、すっぽん、花道などを含めて、高度に機械化され、電気で駆動する設備を備えています。また、明治時代以降に劇場が大規模な洋風建築になり、夜間興行が定着したことで、電気照明や音響の設備が急速に発達しました。これらを操作する技術も重要です。そして、複雑化した舞台機構を制御し、かつ安全を確保するために、全体を統括する舞台操作(操作盤)や舞台監督も重要になっています。(金田栄一/浅原恒男)
【イラスト】
歌舞伎の舞台機構図(平成12年日本俳優協会発行『歌舞伎の舞台技術と技術者たち』より)
イラスト制作 菊池華