こがらすまる 小烏丸

平家に伝わる重宝。平安京を開いた桓武天皇のもとに伊勢の大烏がもたらした名剣とされ、桓武天皇の子孫である平家が受けついだ。壇ノ浦で失われたと思われていたが、武家の礼法である「伊勢流」を創設した平家の流れを汲む伊勢家が秘蔵して伝え、現在は宮内庁が保管している。新歌舞伎十八番『紅葉狩』では、余吾将軍平維茂がこの太刀で戸隠山の鬼女と戦っている。(前川文子)

【写真】
『紅葉狩』[左から]更科姫実は戸隠山の鬼女(市川染五郎)、余吾将軍平維茂(尾上松緑) 平成27年9月歌舞伎座