でばやし ひなだん 出囃子(雛壇)

長唄囃子連中などの演奏者が乗る台で、二段以上で緋毛氈が掛けられているものを雛壇と呼びます。その名の通り、雛人形を飾る段によく似ているところからの呼称です。ふつうは上の段の中央、向かって左に立唄、右に立三味線が座ります。立唄の左にワキ唄以下の唄方が居流れ、立三味線の右にワキ三味線以下が居流れます。下の段に囃子連中が立鼓を中心に小鼓、大鼓が座り、一番上手(右)に笛、下手に太鼓が座ります。しかし『勧進帳』などで囃子方が雛壇の前に、床几(しょうぎ)に掛けて居並ぶ場合もあります。(金田栄一)

【写真】
『勧進帳』[左から]亀井六郎(大谷友右衛門)、片岡八郎(市川高麗蔵)、武蔵坊弁慶(市川染五郎)、駿河次郎(澤村宗之助)、常陸坊海尊(松本錦吾)、源義経(中村吉右衛門) 平成26年11月歌舞伎座
舞台の背景の松羽目の前で演奏する長唄囃子連中。緋毛氈をかけた雛壇の上に長唄の唄方と三味線方が居並び、その前に囃子方が床几にかけている。