おしろい・とのこ・べに 白粉・砥の粉・紅

顔を白くするための化粧の材料を白粉(おしろい)と呼ぶ。古くはおしろい花や米の粉末などから作った白い粉などが化粧に使われたという。白塗りに使われた江戸時代の白粉(おしろい)には「生白粉(きおしろい)」「舞台香(ぶたいこう)」「唐の土(とうのつち)」の三種があり、このうち役者は「舞台香」を使っていた。当時の白粉には毒性のある鉛が使われていたが、後に改良されて、明治期に無鉛白粉が発売されるようになった。現在の白粉の原料は主に酸化チタンを使用している。
砥の粉は砥石を切り出すときにできる岩石や土の粉が原料。一般には木材塗装の下塗りなどにも使われるもので「茶砥の粉(ちゃとのこ)」、「黄砥の粉(きとのこ)」などがある。現在はパンケーキで代用することもある。
紅は「油紅(あぶらべに)」と「水紅(みずべに)」があり、役柄に合わせて使われる。油紅は発色を保ち、荒事の「隈取り」は油紅で取る。水紅は伸ばすと薄くなり、女方の頬のぼかしなどに用いる。(阿部さとみ)

【写真上左】
後列左から、ピンクの砥の粉(粉末)、ドーラン、墨、紅
前列左から、砥の粉(固形)の箱と中身、頬紅、青黛、ドーラン(茶)

【写真上右】
左上は鬢付油、手前左は粉白粉、中央上から各種鬢付油3種、中央手前は眉つぶし(肌色)、右は固練り(石練り)の鬢付油を温めるためのライター

【写真下左】
紅筆、眉筆など各種。手前は金属製のへら

【写真下右】
後列はパフとスポンジ
中央と前列は白粉刷毛各種