こくもち 石持

家紋が入る部分が、白丸の空白になっている衣裳をさします。これは実社会にはありえない柄ですが、何の家柄もないということを表しており、浪人やその女房、身分を隠している役などに使われます。『菅原伝授手習鑑~寺子屋』の女房戸浪、『吃又』のおとく、『妹背山婦女庭訓』の酒屋の娘お三輪、男性の役では『熊谷陣屋』の弥陀六などがこれを着ています。(田村民子)

【写真】
『傾城反魂香』又平女房おとく(中村時蔵) 平成23年11月新橋演舞場