三代目市川猿之助(現・二代目猿翁)が歌舞伎のエンターテインメント性を徹底的に磨き上げ、全く新たなアイディアを加えて創り上げた新形態の歌舞伎で、「スーパー歌舞伎」という命名もまさに画期的といえます。明治以降の新歌舞伎が否定してきたいろいろな歌舞伎の演出手法、すなわち「誇張された衣裳」「隈取」「見得」「正面芝居」「合方(音楽)」「ツケ」といったものを積極的に取り入れ、さらに「宙乗り」「早替り」も加えて、しかしセリフを現代語にするという「矛盾の発想」がすべての演目で貫かれています。その第一作は1986(昭和61)年初演の『ヤマトタケル』、その後『リュウオー』『オグリ』『新・三国志』などを次々と創作上演、最近はそのポリシーを受け継いだ現・四代目市川猿之助が「スーパー歌舞伎Ⅱ(セカンド)」と銘打って『ワンピース』の大ヒットを飛ばしています。(金田栄一)
【写真】
『ヤマトタケル』ヤマトタケル(市川猿之助) 平成10年10月大阪松竹座
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『ヤマトタケル』ヤマトタケル(市川猿之助) 平成10年10月大阪松竹座