おおやとたなこ 大家と店子

「大家と店子は親も同然、子も同然」と落語の枕にふられるが、長屋という借家の形態があった時代、貸家の持ち主の代理人を大家あるいは家主(いえぬし)といい、借りる側を店子と称した。火事の多かった江戸では、自分の土地・家を持っている人は少数で、多くは借家に住んでいた。『髪結新三』の新三は小悪党だが、大家さんには前科者である自分の弱みを握られている。(小宮暁子)

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『梅雨小袖昔八丈』髪結新三 [左から]髪結新三(尾上菊五郎)、家主長兵衛(坂東三津五郎) 平成23年11月新橋演舞場