ふかがわ 深川

東京都江東区の一部地域。江戸城から見て辰巳の方角にあたるところから辰巳と俗称された。そのため、この地の芸者は辰巳芸者と呼ばれ、伝法で男勝りの気性を売り物にしていた。素足に黒羽織を着用し、俗謡に「辰巳よいとこ素足があるく、羽織ァお江戸の誇りもの」と唄われた。『八幡祭小望月賑(はちまんまつりよみやのにぎわい)』の主人公は粋な深川芸者美代吉。祭りの日には男髷に片肌ぬぎ、裁着(たっつけ)のきりりしゃんとした手古舞(てこまい)姿で練り歩く。縮屋新助が一目惚れするのも当然と思われる。(小宮暁子)

【写真】
深川芸者の恋の達引を描いた『梅ごよみ』[左から]芸者米八(中村勘九郎)、芸者仇吉(坂東玉三郎) 平成16年12月歌舞伎座