かとうぐち 瓦燈口

時代物の御殿の正面に設けられる出入口。高貴な身分の人物のいる室内であることが表現されます。その形が、灯火をともす陶製の用具“火(瓦)燈”に似ているところからこう呼ばれます。釣鐘のような形をしていて、織物の垂幕がかけられ、真ん中を引き分けて俳優が優雅に登場します。『妹背山婦女庭訓』御殿、『一條大蔵譚』などで使われます。(東功吾)

【写真】
『義経千本桜』川連法眼館 [左から]佐藤四郎兵衛忠信(市川猿之助)、源九郎判官義経(坂田藤十郎) 平成24年6月新橋演舞場