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かこうしゅう 可江集

可江とは十五代目市村羽左衛門(1874-1945)の俳名です。この可江集を眺めてみますと、家の芸というよりは、いかにも羽左衛門の当り役を並べた、といった趣きです。美しく華のある二枚目役者で、爽やかな口跡でひときわ人気を博した羽左衛門が得意とした白塗りの立役か二枚目、若衆などです。
時代物では『近江源氏先陣館』の佐々木三郎兵衛盛綱、『石切梶原』の梶原平三景時、『源平布引滝』の斎藤別当実盛、『勧進帳』の富樫左衛門。世話物や時代世話では『曽我綉侠御所染-御所五郎蔵』の御所五郎蔵、『義経千本桜-すし屋』のいがみの権太、『江戸育お祭佐七』のお祭佐七、『助六由縁江戸桜』の花川戸助六、『仮名手本忠臣蔵』の早野勘平、『雪暮夜入谷畦道』の直侍(直次郎)、『与話情浮名横櫛』の切られ与三郎などの二枚目、そして『其小唄夢廓』の白井権八は前髪の若衆となります。(金田栄一)

【写真】
『勧進帳』富樫左衛門(市村羽左衛門) 昭和16年3月歌舞伎座
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