こやく

子役

歌舞伎には子役が登場する演目が大変に多いのですが、子役ばかりは子供が勤めなければなりません。子役の演技は特徴的な甲高い調子のせりふと、極めて典型的ないくつかの動作で成り立っています。表情やせりふで感情を表わすのではなく、たとえば悲しいときや不満なときは首を横に振る、嬉しいときは手を打つ、泣くときは目の前に両手を交互に上げるといった具合で、こういった動作は人形の動きや人形芝居から転じてきたとされます。画一的なせりふは無邪気で可憐な子供らしさの表現となり、また大人の芝居を妨げぬといった先人の工夫ともいえるでしょう。『菅原伝授手習鑑』寺子屋の小太郎と菅秀才、『伽羅先代萩』の千松と鶴千代、『近江源氏先陣館』盛綱陣屋の小四郎、小三郎、『義経千本桜』渡海屋・大物浦の安徳帝、『ひらかな盛衰記』逆櫓の駒若丸、『源平布引滝』実盛物語の太郎吉など、重要な作品の多くで子役が活躍しています。(金田栄一)

【写真】
『倭仮名在原系図』蘭平物狂 一子繁蔵(尾上左近) 平成26年6月歌舞伎座