へんかするかつら

変化するかつら

歌舞伎は、お客さんを喜ばせるのが大好き。かつらも、しかけがほどこされたものがあり、お芝居のなかで効果的に演技を助け、芝居を盛り上げています。 たとえば『京鹿子娘道成寺』の終盤で花子が娘から蛇体へと姿を変えるように役の性根が劇的に変化したり、切腹などの悽愴な様子を表したりするときは、観客の目の前で髷(まげ)などを崩し、髪型を意図的に乱すことがあります。これを「さばき」と言います。 また『仮名手本忠臣蔵 六段目』の勘平は、舅殺しと責められて白刃を腹に突き立てますが、このときは段階的に美しく髪がさばけるように仕掛けがされています。まず髷の根元を崩し、髷をだらんとさせる「がったり」と呼ばれるしかけ。その後に、髷を束ねていた元結(もっとい)という紐を取り去り、ざんばら髪にします。このように髪がすべてほどけた状態にさせることを「総さばき」と言います。(立役の髪も、ほどけた髪を見るとかなりロングヘアです)。『東海道四谷怪談』のお岩の髪が抜け落ちる「髪すき」なども仕掛けによるもので、お芝居を不気味な雰囲気にいざないます。(田村民子) 【写真上 左(変化前)/右(変化後)】 『仮名手本忠臣蔵』早野勘平(尾上菊五郎) 平成21年11月歌舞伎座 【写真下 左(変化前)/右(変化後)】 『積恋雪関扉』傾城墨染実は小町桜の精(中村福助) 平成16年11月歌舞伎座

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