ぎだゆうぶし 義太夫節

竹本義太夫が大坂に竹本座を興して創始した浄瑠璃(語り物)で、劇的要素や豪快さ緻密さにひときわ優れ、人形浄瑠璃はもとより歌舞伎を芯で支える重要な音曲となっています。竹本義太夫と共に作者として近松門左衛門が台頭し、人形浄瑠璃を隆盛に導いてゆきましたが、その後歌舞伎にも多く移され、歌舞伎の中で義太夫物は重要なポジションを担っています。三味線は太棹と呼ばれる豊かな音量とともに低音が利いた大型で、語りも低音から高音まで幅広く使われ、ドラマティックな表現力の豊かさがまさに命です。三味線の音が「デンデン」と特徴的なところから歌舞伎の義太夫物をデンデン物と呼ぶこともありますが、やや卑俗な用語です。歌舞伎義太夫およびその演奏者を竹本(たけもと)とも呼んでいます。(金田栄一)

【写真】
舞台上手の太夫座で演奏する[左]竹本葵太夫、[右]鶴澤宏太郎