1. 用語
  2. 歌舞伎の音楽
  3. 黒御簾(下座)音楽
  4. 黒御簾の用法と演出(三)俳優の演技につく用法

黒御簾の用法と演出(三)俳優の演技につく用法

芝居の場面で、「まずひと通り、お聴き下さい」で始まる「本調子(ほんちょうし)合方」。述懐や愁嘆の科白に合わせての「只(ただ)の合方(只合とも)」。縁切りの場での胡弓入りの合方。殺し場での「音頭」「待つ宵」「露は尾花」「四つの袖」など。特殊な演出の型についた曲は、立廻りでは「どんたっぽ」「千鳥合方」「突いてくりゃるな八幡鐘を」など。だんまりでは「竹笛入り合方」「夜神楽」など。六法を踏んでの引込みには「大太鼓入り合方」や「飛去り」。押戻しでは「さらし」「大流し」「五つ頭」など。道具や役者をセリ上げるときの「楼門セリ合方」「床下セリ合方」もあります。(浅原恒男)

【写真】
『東海道四谷怪談』雑司ヶ谷四谷浪宅の場 民谷女房お岩(中村勘九郎) 平成16年8月歌舞伎座
お岩が宅悦に鉄漿(かね)の道具を持ってこいと言うのが独吟「瑠璃の艶」のかかり。「竹垣の草にやつれし軒のつま…」で鉄漿をつけ、母の形見の櫛を見て「もつれし髪を、おおそうじゃ」のせりふで二の句「あした夕べに面痩せし…」になる。最後に髪を上げて両手をホッと後ろに突くと上げ句「花が花ならものは思わじ」になる。お岩と宅悦のやりとりに大太鼓の風音とドロドロ、赤子の泣き声が重なり緊迫した場面。
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