おくりさんじゅう 送り三重

登場人物が愁いに沈んだ状況で花道を入るとき、花道付け際で立って弾く三味線の演奏。人物が静かに愁いを秘め、やがて早足になって花道を引っ込みますが、三味線もそれに乗るように畳みかけて弾きます。『仮名手本忠臣蔵』四段目の大星由良之助、『熊谷陣屋』の熊谷次郎直実などがその代表的なところ。(金田栄一)

【写真】
『熊谷陣屋』熊谷次郎直実(松本幸四郎)の花道の引っ込みで合引に右足を乗せて「送り三重」を弾く杵屋栄津三郎 平成26年11月歌舞伎座