べにぐま 紅隈

筋隈(すじぐま):地は生白粉。鼻筋、額、顔の両側に隈を取る。鼻と口を割る(鼻を紅で縁取り、口角に墨を入れる)。『暫』の鎌倉権五郎、『矢の根』の曽我五郎など。荒事の代表的な隈取り。

むきみ隈(むきみぐま):地は生白粉、隈は目張りの延長となる簡潔な隈。『助六由縁江戸桜』の助六は色気を持たせるように、筋を細く描き、『寿曽我対面』の曽我五郎は荒事なので力強く描く。

二本隈(にほんぐま): 地は生白粉。目尻、眉尻から出た二本の隈をやや上がり気味に取る。単純な筋に力感を出す。眉とは別に筋を描くこともある。青黛で髭を描き、墨で目張り、口の内側にも墨を入れる。『菅原伝授手習鑑』の「車引」の松王丸。

芝翫筋(しかんすじ):地色は砥の粉。眉尻、目尻から上に向けて芝翫筋といわれる赤い筋を強く引く。『熊谷陣屋』の熊谷。(阿部さとみ)

【写真上左】
筋隈
『暫』鎌倉権五郎景政(市川團十郎) 平成22年7月新橋演舞場

【写真上右】
むきみ隈
『壽曽我対面』曽我五郎時致(坂東彦三郎) 平成29年5月歌舞伎座

【写真下左】
二本隈
『菅原伝授手習鑑』車引 舎人松王丸(中村吉右衛門) 平成23年9月新橋演舞場

【写真下右】
芝翫筋
『熊谷陣屋』熊谷次郎直実(松本幸四郎) 平成30年2月歌舞伎座