つりえだ 吊り枝

主に舞踊劇や時代物で、舞台の上部一面に吊り下げられる造花や木の枝のことを指します。初春なら梅、春なら桜、夏なら柳、秋は紅葉など、舞台の季節感を強調し、観客を芝居の世界へと誘う華やかな飾りです。『菅原伝授手習鑑』車引の梅の吊り枝、『義経千本桜』吉野山や『助六由縁江戸桜』『京鹿子娘道成寺』の桜の吊り枝、『色彩間苅豆』の柳の吊り枝などが代表的です。(東功吾)

【写真上】
『義経千本桜』吉野山 [左から]逸見藤太(市川猿弥)、佐藤忠信実は源九郎狐(市川猿之助)、静御前(市川染五郎) 平成28年6月歌舞伎座

【写真下】
『六歌仙容彩』[左から]所化(中村梅丸、坂東小吉、市川男女蔵、坂東亀寿、尾上松也、中村亀鶴) 平成20年5月歌舞伎座