あげまく 揚幕

舞台から見て花道の突き当りの鳥屋の入口に掛けられた幕。揚幕という名称は、もとは能でシテ方が橋掛かり登場するときに、幕の裾の左右にとりつけた竹棹で幕をもち揚げるところから来ました。歌舞伎でも、松羽目物の舞台で下手に掛けられた五色の幕が、本来の揚幕です。花道の揚幕には、櫓紋と呼ばれる興行主の紋や劇場の定紋を黒または紺地に白抜きで染めてあり、カーテンのように金輪でつり下げられいて、勢いよく開け閉めするとチャリンと音がします。その奥が鳥屋(とや)と呼ばれる小部屋です。なお、舞台上手の出入口に掛けられた幕は上手揚幕と呼ばれます。(東功吾)

【写真左】
舞台下手側の揚幕
『連獅子』狂言師右近後に親獅子の精(中村鴈治郎) 平成27年2月大阪松竹座

【写真右】
花道の揚幕(歌舞伎座)