まわりぶたい 廻り舞台

世界に先駆けて歌舞伎が開発した舞台機構です。18世紀半ばに、独楽まわしにヒントを得た狂言作者並木正三によって考案されたと伝えられます。最初は舞台の上に丸い盆のようなものを乗せ、舞台の下を掘り広げて、人が心棒を回して動かしていましたが、現代では電動で回しています。最初の形態の名残で、今でも「盆」と呼びます。上演中に舞台の裏(盆の後ろ半分)に次の場面の道具を用意して回し、場面転換をスムーズに行うことができます。ここから二つの異なった場面を交互に見せる通称“いってこい”という演出も生まれました。三方に道具を飾って、さらに効率化を図る場合もあります。場所の移動や時間の推移を表すなど、演出の幅を大きく広げることができる技術です。西洋演劇にも影響を与え、1896(明治29)年にはミュンヘン王立劇場がこの方式を取り入れています。(東功吾)

【写真】
廻り舞台を半回しにして情景の側面を見せる場面 『新版歌祭文』野崎村 歌舞伎座