やまいはちまき 病鉢巻

髪に付けるアイテムの一種。医療が発達していなかった時代には、病のときに鉢巻きをすると厄除けや解熱の効果が期待できたとされたそうです(諸説あり)。歌舞伎で使われる病鉢巻きは濃い紫色。顔の左側に結ぶ(客席から見ると右側)のが決まりです。つまり顔の左に紫色の鉢巻を結んでいれば、心身をわずらっている人というサインとなります。『吉田屋』の夕霧という遊女や『保名』という舞踊に出てくる保名という男性もこれを付けています。

ちなみに『助六』の主人公の助六も額に鉢巻きをしていますが、よく見ると病鉢巻とは結び目が逆で、形も異なっています。こちらは、勇ましさを示すもので病気という印ではありません。(田村民子)

【写真】
『廓文章』扇屋夕霧(坂東玉三郎) 平成28年1月歌舞伎座