一本刀土俵入 イッポンガタナドヒョウイリ

登場人物

人物関係図

人物相関図

主な登場人物

駒形茂兵衛【こまがたもへえ】
上州・駒形の出身で、江戸へ出て取的(とりてき =下っ端の相撲取り)となったが、巡業の途中で見込みがないと親方に見限られる。江戸へ戻る途中、一文無しで空腹の状態で通りかかった取手の宿でお蔦に助けられる。結局身を持ち崩して渡世人となってしまったが、お蔦を恩人として慕う心は失わず、再びお蔦に会おうと取手を訪れる。
お蔦【おつた】
取手の宿の旅籠・安孫子屋で酌婦(下級娼婦)として働く女性。土地の顔役に惚れられているが、実は、恋した男に去られて捨て鉢になりヤケ酒をあおる日々。横綱になって故郷に錦を飾りたいという茂兵衛の夢を聞いて、金目の物をすべて渡してやる。その十年後、男とのあいだにできた娘を育てながら、宿場のはずれで飴売りとして地道に生計を立てていたのだが…。
船戸の弥八【ふなどのやはち】
取手のごろつきで、血の気が多いため宿場の人たちからは嫌われている。偶然突き当たった茂兵衛に頭突きをくらって気絶、仲間を引き連れて渡し場で再度茂兵衛に襲い掛かるも返り討ちに会う。十年後には取手の宿の親分となっている。
辰三郎【たつさぶろう】
お蔦の夫、お君の父親。取手を離れた後にお君が生まれたため、娘がいることは知らなかった。調度品の細工をする職人の船印彫師(だしぼりし)なのだが、なかなか仕事がうまくいかず、せめて取手に帰る前にまとまった金を得ようと昔覚えたイカサマ博打に手を出したため、波一里儀十に追われることになる。
波一里儀十【なみいちりぎじゅう】
利根川を挟んで取手の対岸になる中相馬の親分。かつては草相撲で鳴らした力自慢。辰三郎に賭場を荒らされ、弥八に断った上で大勢の子分を引き連れお蔦の家に乗り込み、辰三郎を捕えようとする。
堀下げの根吉【ほりさげのねきち】
波一里儀十の子分。辰三郎を追って取手へ来る。船大工たちの仕事場で茂兵衛を辰三郎と勘違いして襲い掛かり、詫びを入れる。儀十の子分たちの中では話がわかる方で、茂兵衛の男ぶりに感心する。