梶原平三誉石切 カジワラヘイゾウホマレノイシキリ

登場人物

人物関係図

人物相関図

主な登場人物

梶原平三景時【かじわらへいぞうかげとき】
生締(なまじめ)と呼ばれる役柄の、颯爽としていて分別も持ち合わせている武将。平家方だが、石橋山の戦いに敗れ洞窟に潜んでいた源頼朝を発見し、その人徳に惹かれて頼朝を見逃して以来、源氏に心を寄せている。刀の目利きとしても知られることから、大庭に依頼され六郎太夫の持ってきた刀を見て、稀代の名剣と鑑定する。そして、六郎太夫父娘が源氏方であると見抜き、父娘のピンチを救って自らの心底を打ち明け、石の手水鉢を真っ二つに斬って、名刀の証拠を見せる。
大庭三郎景親【おおばのさぶろうかげちか】
大敵と呼ばれる、風格を備えた敵役。平家方の武将。石橋山の戦いで源頼朝を敗り、戦勝を祝いに弟の俣野とともに鶴ヶ岡八幡に参詣に来て偶然梶原と行き会わせる。以前から六郎太夫が所持する刀を手に入れたがっており、急に金が入り用となった六郎太夫が刀を売りに来たと聞いて、同じ平家方ながら普段はあまりそりが合わない梶原に鑑定を頼む。
俣野(股野)五郎景久【またののごろうかげひさ】
荒若衆と呼ばれる、赤い顔で見るからに血気盛んな若者。平家方の武将で、大庭の弟(俣野の姓は通称とされている)。疑り深く、何かにつけてしゃしゃり出てくる。六郎太夫が持ってきた刀のことも疑っており、名刀である証拠として、一度に二人の人間を斬る「二つ胴(ふたつどう)」の試し斬りを提案する。
六郎太夫【ろくろうだゆう】
工芸品の装飾をする青貝師の老爺だが、実は106歳まで生きたとされる源氏方の武将・三浦大助(みうらのおおすけ)の子。娘・梢の夫で源氏方の真田文蔵が頼朝の再旗揚げのために軍資金を集めているのを知り、家宝の刀を大庭に売る決意をして、娘とともに鶴ヶ岡八幡にやって来る。刀が名刀である証拠を見せるため、自ら二つ胴の試し斬りで斬られようとするが、梶原の機転で命を救われ、刀もめでたく梶原に買い取られることになる。
梢【こずえ】
六郎太夫の娘。夫の真田文蔵の軍資金集めに協力するため身を売ろうとするが、家伝来の刀を売る決意をした父に止められ、父とともに鶴ヶ岡八幡で梶原・大庭・俣野と会う。父に、二つ胴を斬ったという折り紙(証明書)が家にあると騙され、取りに帰り、戻ってきたら父が試し斬りになるのだと知って嘆き悲しむ。