伊賀越道中双六~沼津 イガゴエドウチュウスゴロク~ヌマヅ

登場人物

人物関係図

人物相関図

主な登場人物

平作【へいさく】
東海道筋で雲助(荷物持ちや駕籠かきといった力仕事で小銭を稼ぐ仕事)をしている、善良で、気骨と愛嬌のある老人。娘お米の夫の仇討を助けるため、命を捨てて十兵衛から敵の行方を聞き出そうとする。
呉服屋十兵衛【ごふくやじゅうべえ】
鎌倉(江戸)で呉服屋を営む商人で、義理堅い性根を買われて出入り先の武家の縁につながる沢井股五郎の逃亡を手助けることになる。実は平作の実の子で、二歳の時に養子に出された。親を助ければ義理が立たず、難しい立場となる。しかし平作の命を捨てての懇願に胸を打たれ、秘かに股五郎の行方を伝える。
お米【およね】
平作の娘。かつては江戸吉原で全盛を誇った傾城瀬川で、志津馬と馴染み、身請けされて妻となった。夫の仇討を成就させるため、貧しい暮らしに耐えて敵の行方をたずねている。
池添孫八【いけぞえまごはち】
和田家の家来。志津馬とともに敵と狙う股五郎を探している。平作が敵の手がかりを聞き出すために十兵衛を追っていったと知り、お米とともにあとを追う。
和田志津馬【わだしずま】
この場には登場しない。お米の夫で、上杉家の剣術指南だった和田行家(ゆきえ)の子。沢井股五郎の計略にはまって失態を重ね、行家に勘当された。股五郎にだまし討ちされた父の仇討を志しているが、鎌倉円覚寺で股五郎の手下たちと戦った際に負傷して療養中。
沢井股五郎【さわいまたごろう】
この場には登場しない。和田家の家宝である正宗の刀を手に入れるために行家をだまし討ちにして逃亡、志津馬に敵として狙われている。いとこの沢井城五郎(じょうごろう)に匿われ、十兵衛の手引きで九州の相良(現在の熊本県人吉市あたり)まで落ちのびようとしている。
唐木政右衛門【からきまさえもん】
この場には登場しない。伊賀上野の仇討で義弟を助太刀した剣豪荒木又右衛門(あらきまたえもん)がモデル。志津馬の姉お谷の夫で、二人で駆け落ちした過去があるため、お谷は行家から勘当されている。行家の死を知ると、当時身重だったお谷を離縁し、お谷と志津馬の異母妹でまだ7歳のおのちと形式上夫婦になるという苦肉の策をとって助太刀を引き受けた。物語の後半は、仇討に奔走する政右衛門の活躍と、その陰で展開するお谷の悲劇が中心に描かれている。