暫 （ シバラク ）

作品の概要

執筆者 / 橋本弘毅
演目名 暫
作者 不詳（現行台本は福地桜痴による改訂）
初演 1697(元禄10)年1月 江戸・中村座（『参会名護屋』）
概要 「歌舞伎十八番」のひとつで、荒事の代表的な演目。かつては毎年11月の顔見世興行で上演される「顔見世狂言」の中に必ず入る場面として上演され、役名や演出もその都度替えられていた。独立した演目となったのは、1878(明治11)年11月東京・新富座で九代目市川團十郎が上演してからで、主人公の鎌倉権五郎が登場する時の掛け声をそのままとって『暫』と題した。1895(明治28)年11月東京・歌舞伎座の九代目團十郎最後の上演の台本と演出が、現在まで継承されている。

善人たちが悪人の横暴によってピンチに陥ったところにスーパーヒーローが現れ、悪人を懲らしめるという、典型的な勧善懲悪（かんぜんちょうあく）の物語。随所に様式的な部分が見られ、江戸歌舞伎の醍醐味を凝縮した一幕。理屈抜きに古風でおおらかな雰囲気を楽しめる演目として人気が高い。主人公を女性にした『女暫』もある。


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鎌倉権五郎景政（市川團十郎）　平成15年5月歌舞伎座
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公演データ