三人吉三巴白浪
登場人物
人物関係図
主な登場人物
- 和尚吉三【おしょうきちさ】
- 土左衛門伝吉の子で、おとせの兄。もとは出家だったので、付いた異名が和尚。百両の金をめぐるお嬢とお坊の喧嘩を仲裁し、兄貴分として義兄弟の契りを結ぶ。その時手に入れた百両は、親孝行のために伝吉に渡そうとするが、汚れた金として受け取ってもらえず、さらにその金が新たな事件を引き起こす。
- お嬢吉三【おじょうきちさ】
- 五歳の時に誘拐され旅役者の一座に売られ、女方として成長したが、結局女の姿で盗みを働く盗賊となったのでお嬢吉三と呼ばれる。おとせから思いがけなく百両を奪い、はずみで短刀も手に入れる。お坊と百両を奪い合ううちに和尚に仲裁され、義兄弟となる。実は八百屋久兵衛の子。
- お坊吉三【おぼうきちさ】
- 武士の子であるため「お坊(お坊ちゃんの意)」の異名がついた。名刀・庚申丸を盗まれた罪で父安森源次兵衛は切腹、お家断絶となったため、盗賊に。お嬢が手にした百両を奪い合ううち、和尚の仲裁を受けて三人で義兄弟となる。その後、手に入れた百両をめぐって新たな事件を起こしてしまう。一重(ひとえ)という妹、森之助という弟がいる。
- 土左衛門伝吉【どざえもんでんきち】
- 和尚吉三とおとせの父親。ある夜、密命でさる屋敷から短刀を盗んだ時に妊娠中の雌犬に吠えかかられ、盗んだ刀でその犬を惨殺。その後妻が狂死したことから、犬の祟りを恐れるようになった。稲瀬川の川岸に流れ着く水死体を引き上げ供養する善行を積んだため「土左衛門」の異名がついた。
- おとせ【おとせ】
- 土左衛門伝吉の娘。男女の双子として生まれ、当時双子は忌み嫌われていたため片方は捨てられることになったが、女は後で金になるとして伝吉の手元で育てられた。夜の商売をしていて、ある時客になった十三郎が百両を落としていったことに気づき、追いかけるが、偶然行き会ったお嬢に百両を奪われる。
- 十三郎【じゅうざぶろう】
- 道具屋・木屋の手代。双子として生まれたが、忌み物として捨てられ、実子を誘拐され気落ちしていた八百屋久兵衛に引き取られた。おとせと会った時に喧嘩騒ぎに巻き込まれ、短刀の代金百両を紛失、申し訳に身投げしようとしたところを伝吉に救われる。その縁からおとせと恋仲になるのだが……。
- 八百屋久兵衛【やおやきゅうべえ】
- 商人。自分の子供が五歳の時に誘拐されてしまい気を落としていたが、男の子の捨て子がいるのを見つけ、引き取って育てる。川に突き落とされたおとせを救出した人物でもある。