曽根崎心中 ソネザキシンジュウ

作品の概要

執筆者 / 橋本弘毅
演目名 曽根崎心中
作者 近松門左衛門
初演 人形浄瑠璃―1703(元禄16)年5月 大坂・竹本座
歌舞伎―1719(享保4)年4月 江戸・中村座
概要 近松門左衛門の傑作のひとつで、元禄16年4月に実際に起きた情死事件を脚色してその翌月に初演するという離れ業で上演された。この作品の大当たりにより竹本座は経営難から立ち直ったとされており、同時代の学者・荻生徂徠もこの作品を激賞したといわれている。日本のシェークスピアと呼ばれることもある近松は、それまでは『出世景清』など英雄豪傑を描く時代物の作者として知られていた。市井の題材を扱った世話物の作品は『曽根崎心中』が初めてだったが、以後『冥途の飛脚』『心中天網島』『女殺油地獄』など世話物にも名作を残した。
歌舞伎ではさほど評判にならず、数回上演されたのち途絶えていたが、昭和28年8月新橋演舞場で劇作家・宇野信夫の脚色により復活上演されるとお初の新しい女性像が大評判となり、以後繰り返し上演される人気狂言となった。その復活上演以来、現・坂田藤十郎はお初を演じ続け、代名詞ともいえる当たり役としていたが、平成26年4月歌舞伎座で一世一代として演じ納めた。

●トップ画面・タイトル写真
[左から]天満屋お初(坂田藤十郎)、平野屋徳兵衛(中村翫雀) 平成26年4月歌舞伎座

●ページ公開日 平成26年12月1日
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