登場人物
人物関係図
主な登場人物
- 玉手御前【たまてごぜん】
- 合邦道心の娘、本名はお辻。以前は高安家の腰元で、河内の国の大名である当主高安左衛門尉通俊(たかやすさえもんのじょうみちとし)に望まれ後妻となった。まだ二十歳になったかという年頃で、継子俊徳丸とは一、二歳しか違わない。その俊徳丸に道ならぬ恋をしかけ、俊徳丸が家出したと知るとその後を追う。しかしその心の内には、高安家と二人の継子を救いたい深い想いがある。
- 合邦道心【がっぽうどうしん】
- 高名な武士・青砥左衛門藤綱(あおとさえもんふじつな)の子に生まれたが、人の讒言により失脚したのをきっかけに、出家して隠棲した。閻魔堂勧進のため訪れた四天王寺万代池で、次郎丸に襲われていた俊徳丸と浅香姫を助ける。武士であったころと変わらぬ廉直な人柄で、玉手御前の邪な恋を道義として許せない。
- 俊徳丸【しゅんとくまる】
- 高安左衛門と先妻の間に生まれた嫡男。異母兄の次郎丸に家督と命を狙われる。面体が崩れる業病に侵された身を恥じ、また玉手御前の邪恋を振り切るため、次郎丸に家督を譲る書置きを残して家出し、万代池のほとりの筵(むしろ)小屋で貧しく暮らしていた。
- 浅香姫【あさかひめ】
- 俊徳丸の許嫁。俊徳丸が業病を患っても、ひたむきに俊徳丸を愛しているが、次郎丸に横恋慕されている。俊徳丸の後を追って万代池で再会した直後、次郎丸に襲撃されるが、合邦道心と入平の活躍で何とか逃れ、二人とも合邦道心の庵室に匿われる。
- おとく【おとく】
- 合邦道心の妻、玉手御前の母。娘は亡きものと思って供養していたが、思いがけず訪ねてきた玉手御前を娘かわいさに庵室に入れ、母親として娘をかばう。
- 入平【いりへい】
- 浅香姫の家に仕える忠義な家来。俊徳丸を追う浅香姫を守護しながら、ともに行方を捜索。万代池で襲撃されてはぐれてしまうが、合邦道心の庵室にたどりつく。