番町皿屋敷 バンチョウサラヤシキ

身分を越えた青年旗本と腰元の純愛。
家宝の皿を割ってまで男の愛を確かめた女の行く末は・・・・・・。

「潔白な男のまことを疑うた、女の罪は重いと知れ」
青山播磨(はりま)はお菊を手討にした。一生に一度の恋を失ない自暴自棄となった播磨は、町奴との喧嘩に飛び出してゆく…。大正ロマンの時代に創られた新歌舞伎の代表作。

あらすじ

執筆者 / 小宮暁子

山王の桜

山の手第一の桜の名所山王神社。花見に遊ぶ白柄組の旗本青山播磨は、町奴の放駒と喧嘩になるところを、来あわせた伯母真弓にとめられる。
血気盛んな旗本も「伯母様は苦手じゃ」とにが笑い、「散る花にも風情があるのう」と行く春を惜しむ景色が、大正ロマンを色濃く漂わせる。

【左】[左から]青山播磨(中村梅玉)、権次(片岡亀蔵)、権六(中村亀鶴) 平成17年2月歌舞伎座
【中央】放駒四郎兵衛(片岡我當) 平成17年2月歌舞伎座
【右】[左から]伯母眞弓(澤村田之助)、青山播磨(坂東三津五郎) 平成16年4月歌舞伎座
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家重代の高麗皿

播磨は腰元お菊と相愛の仲で他から妻を迎える気持ちはない。が、播磨の縁談の噂に日々心を痛めるお菊は、割れば手討の掟のある家宝の皿一枚を割って播磨の心を確かめようとする。過失としてお菊の罪を許す播磨だった。しかし、お菊がわざと皿を割っているのを、おなじ腰元のお仙が見ており、そのことが用人から播磨の耳に入った。事の真相を知り、真心を疑われた無念さから、播磨はお菊を手討にし井戸に投げ込む。播磨の本心を知ったお菊は満足して死んでゆく。生涯一度の恋を失い、自暴自棄となった播磨は白柄組の統領水野十郎左衛門と町奴との喧嘩の加勢にと槍を手に屋敷を飛びだしていく。

【左】[左から]お菊(中村時蔵)、青山播磨(中村梅玉) 平成17年2月歌舞伎座
【中央1】お菊(中村時蔵) 平成17年2月歌舞伎座
【中央2】[左から]お菊(中村福助)、青山播磨(坂東三津五郎) 平成16年4月歌舞伎座
【中央3】[左から]お菊(中村福助)、権次(片岡市蔵)、青山播磨(坂東三津五郎) 平成16年4月歌舞伎座
【右】青山播磨(尾上九朗右衛門) 昭和34年2月東横ホール
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