盟三五大切 カミカケテサンゴタイセツ

登場人物

人物関係図

人物相関図

主な登場人物

薩摩源五兵衛 実は 不破数右衛門【さつまげんごべえ じつは ふわかずえもん】
実は塩冶浪士の不破数右衛門(ふわかずえもん)。藩の御用金三百両を盗まれた責任を負い浪人したが、直後に塩冶判官の刃傷事件により塩冶家が断絶。三百両の金を償うことを条件に仇討に加われることになったため、身元がばれないよう偽名で金策し、残金百両にまでになった。そんな武骨で色恋と無縁なように見えた男が、ふとしたキッカケで芸者の小万に惚れ、小万と三五郎たちに謀られ、伯父が用意してくれた残りの百両を取られてしまう。裏切られた恨みはすさまじく、荷担した人間たちを次々に斬り殺す。
笹野屋三五郎【ささのやさんごろう】
深川の船宿笹野屋をいとなむ船頭。了心(徳右衛門)の息子で、本名は千太郎(せんたろう)。身持ちの悪さから勘当されたが、父に頼まれた大金を手に入れ勘当を解いてもらおうと、女房小万を芸者にしてまで金策に必死である。源五兵衛が小万に入れあげているので、仲間たちと共謀して源五兵衛を罠にはめる。しかし源五兵衛こそが父の旧主で、金も源五兵衛のためだったことが判り、非を悔いて自害する。
妲妃の小万【だっきのこまん】
中国古代の悪女妲妃の異名を取る売れっ妓芸者。実は三五郎の女房で、本名はお六。かつて下女として神谷家に仕えていた。夫が必要としている大金を稼ぐため深川で芸者となり、自分に惚れている源五兵衛を金づるにしている。三五郎の思惑でさらに大金をせしめるため、腕に「五大力」という彫り物までして源五兵衛をだまし、源五兵衛に幼子とともに殺される。
富森助右衛門【とみのもりすけえもん】
塩冶浪士。この作品では数右衛門(源五兵衛)の伯父という設定になっている。数右衛門を仇討に加えるため百両の大金を調達するが…。
六七八右衛門【ろくしちはちえもん】
源五兵衛に仕える忠義の若党。源五兵衛が五人斬りの容疑で捕まりそうになると、主人の仇討の大願を叶えさせるため、自ら名乗り出て役人に召し取られる。
了心【りょうしん】
三五郎の父。出家する前は徳右衛門といい、小者として数右衛門(源五兵衛)に仕えていた。旧主のために勘当した息子にも頼んで百両の金策をする。
くり廻しの弥助【くりまわしのやすけ】
三五郎夫婦が引っ越した長屋の家主。小万の実兄で、かつて土手平(どてへい)という名で神谷家に下男奉公していた。高野家(「仮名手本忠臣蔵」の高家)の絵図面を儲けにつなげようとするが、源五兵衛の持ってきた毒酒で命を落とす。「くり廻し」はやりくり上手というような意味。
お先の伊之助【おさきのいのすけ】
深川の船頭で、三五郎のごろつき仲間。源五兵衛から金をだまし取る手伝いをして、源五兵衛に殺される。
菊野【きくの】
小万の朋輩の芸者。伊之助といい仲で、源五兵衛を気の毒に思いながらも伊之助とともに騙りに加わり、源五兵衛に殺される。
内びん虎蔵【うちびんとらぞう】
三五郎の仲間。源五兵衛から金をだまし取った三五郎たちに家を貸すが、そこが凄惨な殺しの現場となってしまう。
賤ヶ谷伴右衛門 実は ごろつき勘九郎【しずがやばんえもん じつは ごろつきかんくろう】
三五郎の仲間。うその身請け話をもちかける役を演じ、源五兵衛に殺される。
長八 実は ごろつき五平【ちょうはち じつは ごろつきごへい】
三五郎の仲間。うその身請け話の片棒を担ぎ、源五兵衛に殺される。
幸八【こうはち】
廻し男(まわしおとこ)と呼ばれる、廓の下働きの男。小万と菊野を迎えにきて、巻き添えになって源五兵衛に殺される。
おくろ【おくろ】
三五郎夫婦の間に生まれた男の子の里親。三五郎夫婦の長屋に泊って、源五兵衛に殺される。
神谷伊右衛門【かみやいえもん】
実際には登場しない。『東海道四谷怪談』では民谷伊右衛門として描かれた塩冶浪人。土手平(弥助)・お六(小万)兄妹の旧主。土手平と共謀して主君の御用金三百両を盗み、そのために源五兵衛は浪人した。