ヤマトタケル

作品の概要

執筆者 / 大島幸久
演目名 ヤマトタケル
作者 作:梅原猛  監修:奈河彰輔、戸部銀作  台本・演出:市川猿之助
初演 1986(昭和61)年2月 新橋演舞場
概要 現在「スーパー歌舞伎」と言えば歌舞伎のファンだけでなく、広く一般の方々にまで浸透した演劇の表現形態ですが、その記念碑と言える第一作が『ヤマトタケル』。初演は1986(昭和61)年2月の新橋演舞場でした。三代目市川猿之助(現二代目猿翁)が哲学者・梅原猛氏の原作を得て、日本神話の日本武尊(やまとたける)伝説を舞台化し、新たな歌舞伎のジャンルを産み出し、記録的な大ヒットとなった作品で、猿之助の進取の精神が息づく傑作です。
主人公はヤマトタケル。我が国の古代史に於いて最も知られて人気がある英雄、日本武尊をモデルとして、その活躍と闘いの生涯を描いています。父君・帝(すめらみこと)の命令を従順に守り、熊襲(くまそ)と闘争し、東国を平定し、伊吹山の山神退治と八面六臂の死闘を繰り広げるのです。
背景には慕い続ける父帝への肉親愛、一方で明日に向かっての夢や可能性を追い求める志、それ以上に何か途方もないもの、言葉を換えるなら“天翔ける心”が胸中を揺り動かしていたのです。
物語は全三幕。現代的な台詞。ふんだんに取り入れた歌舞伎の技法と斬新で珍しい演出。大立ち廻り、宙乗りといったケレン味も加え、京劇の演出も取り入れしました。長い歌舞伎の歴史の中にもなかった全く新たな歌舞伎分野を創造した作品、それがスーパー歌舞伎『ヤマトタケル』です。


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ヤマトタケル(市川猿之助) 平成10年10月大阪松竹座

●ページ公開日 平成28年4月28日
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