連獅子 レンジシ

作品の概要

執筆者 / 阿部さとみ
演目名 連獅子
作者 作詞:河竹黙阿弥  作曲:三世杵屋正次郎(正治郎とも)
初演 1872(明治5)年 東京村山座
概要 1861(文久元)年に、初世花柳寿輔、芳次郎の親子に当てて書かれた作品を作曲者の二世杵屋勝三郎の名を取って通称「勝三郎連獅子」と呼ぶ。これに詞章を追加、1872(明治5)年に三世杵屋正次郎が作曲し直したものが「正次郎連獅子」。五代目坂東彦三郎、二代目沢村訥升によって上演されており、これが現行の曲のもととなっている。
眼目の「子落とし」は、もとになった能『石橋』の小書(演出)にあったが、謡の詞章にはなかった。まず「勝三郎連獅子」に、子落としのくだりが書き加えられて「正次郎連獅子」になったが、さらにこれに父親の心情や、仔獅子が水に映る父の面影に勇み立つ件が付け加えられ、ドラマチックな展開となった。派手な曲調と変化のある構成が特徴的。
 1901(明治34)年2月、東京座で二代目市川段四郎と四代目市川染五郎(後の七代目松本幸四郎)が上演した折に、背景が松羽目となり、ここから現在に至る様式が整えられた。
 実際の親子での上演が多く、獅子の子落とし伝説と、芸の修行における親子間の厳しさと愛情とが重ねられ、胸が熱くなる舞踊である。


●トップページ・タイトル写真
[左から]狂言師左近後に仔獅子の精(坂東巳之助)、狂言師右近後に親獅子の精(坂東三津五郎) 平成22年10月新橋演舞場

●ページ公開日 平成28年3月15日
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